とある夏の情景-2


「あぢぃ〜ぃっ」
信号待ちの車内でハンドルにもたれ掛かる。
後部座席がスモークガラスの黒のアルファードの車内はサウナのようだ。
こんな日ならバイクでツーリングも悪くない。
しかし、来週から始まるリーグ戦でベンチ入りが確定している七松小平太は、監督から「絶対にバイクには乗るな」ときつく言われていた。

それにしても暑い。
今日までに提出しなければならないレポートさえ無かったら、こんな暑い時間にわざわざ外になんか出たくはない。
しかし、秋にある教育実習の実習計画の提出も重なり、渋々外へ出た。


大学構内は試験期間なのもあり閑散としていた。
中央棟の裏手にある駐車場に止めると、見慣れたシルバーのcivicが横にあった。
(留も来てるのか?)

せっかく来たのに、目的の研究室には人の気配はなかった。
仕方無く、入れてきたファイルに書類と連絡先を書いたメモを挟み、扉の隙間から中へ投げ入れた。
予定より早く用事が済んでしまった。
さてこの後どうしようか。
部活に顔を出すのも悪くはないが、今日は試合前最後のオフ日だから身体を休めたい。
考え事をしながらエレベーターに乗り込むと、そこにはよく知った顔があった。
2011/02/13